販売と色彩 Color guide for Marketing Media
 【文章スタイリスト】 武田 みはる

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2017-07-09 02:32:12

古びたページをめくると、懐かしい昭和の匂いが漂う。

巻頭にある写真やポスターの画像は、まさに昭和30年代そのもの。

トンボ鉛筆や三菱ミシンのポスターだが、

クリスマスプレゼントに色鉛筆の詰め合わせ(セットとは書かれていない)が100円から。

三菱ミシンの広告キャンペーン用ポスターには、2000円月賦という文字が見える。

月賦という単語を久々に見た(笑)

60年も前に書かれた書物であるが、

この本は色彩の勉強には現代でも大変重要な一冊である。

 

Color Guide for Marketing Media というタイトルどおり、

「広告や宣伝の媒体に色彩をどのようにつかったら効果があるか」

科学的、論理的に綴られている。

色彩にかかわる仕事をしている人はもちろんであるが、

一般の社会人やひとりの消費者としての立場で読んでもとても興味深い内容なのだ。

 

第1章 色とは何か

ここでは色彩を物理的な面、化学的な面、心理的な面、生理的な面のそれぞれから見た特徴が書かれている。

内容はやや学術的だが、訳者の日本語センスが飛んでいて、面白い!

どの色相にも、それぞれ配偶者と家族がある。と書かれている。

どうゆうことか?と読んでいくと、

補色をなす色相(色相環で180度向かい合う色同士)は配偶者であり、

同系色はその家族だという。

補色同士の配色は通常、立ってあるくのと同じくらい自然に好まれると説いている。

この表現がなんとも散文的!

補色同士の組み合わせを嫌うのは、特殊な条件や経済的に思わしくない要素があるかららしい。

その証拠に、未開民族は補色配色を好み、工業都市の貧民街では不調和な色の組み合わせが多いという。

アフリカや南米の先住民族は、

たしかにカラフルで強烈な純色(ヴィヴィットカラー)の補色使いをしている。

 

もうひとつ、色の好き嫌いには

地理的、国民的、文化的要素が左右することは周知のうえだが、

経済的要素も働いていると初めて知った。

教育程度が高く、収入が多いと、淡い色が好まれる(原文のまま)

教養がなく、貧乏であれば強烈な色が好まれる(原文のまま)

なんだか身もふたもない言いようであるが、

世界の民族衣装や伝統的な服装を思い浮かべると

発展途上国ではたしかに原色が多く使われている。

先進国では中間色(濁色)が多いのも確かだ。

「感情のはけ口の沢山ある人、感情を満たすようなものを買える人、もしくはその両方が可能な人は

明色(ライトな色)や中間色(濁色)を好む」(本文より引用)

科学的な根拠があるのだろうが、

日本語の表現が異次元で、一般人がフムフムと頷きながら読み進めていく感じが

なんとも面白い。

現代において、ヴィヴィッドカラーを身に付けている人が感情のはけ口のない人だとは思わないが(笑)

 

後半にはパッケージにおける市場テストについて言及されていて、

これは現代の商品色彩を決定するにあたって、とても参考になるところである。

どんなに優れた商品を作っても、

パッケージや広告の色使いによって

売上や注目度は天と地ほどにも開いてしまう。

 

最後についている色彩表の印刷が60年前を物語る。

不易流行・・・移り行くものと変わらないもの

見た目からは時代の移り変わりを、

内容からは不変のことを

教えてくれる古書でもある。

 

L.チェスキン 著  大智 浩 訳

1957年第1版発行

1964年第1版第4刷る発行

(株)白揚社

 

 

 

 

 

 

 

 

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【文章スタイリスト】 武田 みはる


似合う色と文章で「見た目」と「ココロ」の両面からあなたらしさを表現します。 本屋さんと文房具とお酒が大好きな大阪在住の文章スタイリスト。 http://write-stylist.blogspot.jp http://ameblo.jp/nonajarinko

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