つぶやかなければよかったのに日記11
 クボタ カナ

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2017-07-28 00:37:03

6月○日

5月後半忙しかったせいか、疲労困憊という感じでなんにもできなかった一日。読みたかった本や譜読みしたい曲などあったけど、まぁ人間こんな日もある。F・六角師匠からもらった岩波文庫90周年記念「図書」がとてもよくて、そればかり読む。いろんなひとたちが“私の三冊”を挙げている。私の三冊はなんやろう。「福翁自伝」は外せないかな。若かりし頃がんばって読んだ「「いき」の構造」、たのしくて何回も読んでしまう「三銃士」、こつこつと読みすすめた「源氏物語」、酒と狐狸と男と女の「聊斎志異」も捨て難い。あぁ、ビアズリー挿絵の「サロメ」があった。お前にくちづけしたよ、ヨカナーン。夜、ものすごい雷雨になる。風も強い。熱いラーメンが食べたい。

 

6月□日

ナガシの日。きょうはひさしぶりにパン屋に行く。ブルーベリーのデニッシュ、あいかわずうまい。ルーパート・ペニー「甘い毒」読了。ぜんぶの出来事を語り終えたら、粋な幕間(いわゆる読者への挑戦状)をはさんで、簡潔な解決篇。美しきフェアプレイ。すべてのピースは、中心をそのままに180度ぐるりと回すと、ピタリときれいにはまる。いいですね〜さいこうですね〜。最後の落とし方も洒落てる。シリーズぜんぶ読みたいなァ。あとがきに、幻の作家、原書自体あまりみつからないというようなことが書かれている。厳しいやろうなぁ。読むものなくなったので、店にあった「ストップ!ひばりくん!」のコンプリートエディションを読む。ひばりくん、かわい〜!80’s〜!

 

6月△日

きょうはちょっと暑い。窓全開でもむぅと暑い。もうちょい風が欲しいところ。これからどんどん不快指数高まる季節になるのだ。あぁ、じめじめ。おにぎりは、鮭、じゃこごま野沢菜、茗荷のごはんのとも。武田百合子「日日雑記」を読む。いいなぁ。私は「犬が星見た」よりこっちがすきかもしらん。いちばんはやっぱり「富士日記」やけど。すきな文章。

 

6月☆日

ジョルジュ・シムノン「モンマルトルのメグレ」読了。メグレ、はじめて読んだ。おもしろかった。ちょっとハードボイルドな十津川警部って感じ。気軽にひょいひょい読みたい感じ。十津川警部シリーズは祖父の部屋にたくさんあったのをずいぶん読んだ。祖父は、だいたいまいにち散歩の途中に本屋へ寄って、十津川警部か浅見光彦の文庫本を買って帰っていた。それを居間や寝る前のベッドのなかで読んで、老眼鏡をかけたまま本も手に持ったまま眠ったりしていた。その、たまに重複していたりもする膨大な在庫をなんにもすることのない中学生の夏休みにざくざく読んだ。渡瀬恒彦と伊東四朗のテレビドラマシリーズの大ファンだったので、自動変換されて脳内ではふたりが話して動いていた。祖父も渡瀬恒彦ももういない。淋しい。

 

6月●日

きょうのおにぎりは、ツナマヨ、昆布、鮭。おにぎり界の横綱、大関です。晴れの日ばかりでほんまに梅雨入りしてんの?とおもってたら、きっちり雨が降った。庭の緑がいきいき、鮮やかにみえる。アントニイ・バークリー「レイトン・コートの謎」読了。たのしかった!ロジャー・シェリンガムのうざ探偵術もお約束の間抜けっぷりも冴えわたるバークリーの処女作。犯人はすぐわかるんやけど、それでもおもしろいんよな。コメディです。てゆか、ギャグ漫画やん。パロディみたいなとこもある。オリジナルの本格ミステリやけど。帰宅後「メグレと殺人者たち」読む。展開が早すぎて、え?そんな話してた?いつ?抄訳?とおもったけど、ぼんやり読んでたからかもしれない。そんなこと、まぁどうでもよい。おもしろいので。

 

6月■日

武田泰淳「目まいのする散歩」読み終える。エッセイのような小説のような、武田百合子による口述筆記のせいか不思議な感じ。ぼんやりしているかと思いきや、ぐいっと眼光するどく油断ならない。おもしろかった。また読む。缶詰クッキングのレパートリーを増やしたくて、高橋みどりの本に載ってたやつを試してみる。オイルサーディンを焼いて醤油ジュッとして黒胡椒がりがりして葱もりもりのせた丼。うまい。夜、テレビでツタンカーメンの番組を見る。別に新事実とかはどうでもよくて、見て「ツタンカーメン!呪われる!えんどう豆!」など言いたいだけなのだ。小学生のときに読んだクリスティのこども向けアンソロジーにツタンカーメンの話があって、こういう番組を見ると必ず思い出す。

 

6月▲日

「目まいのする散歩」がよかったので、迷っていた「武田百合子単行本未収録エッセイ集 あの頃」も買う。花氏によるあとがきに「百合子は必ず本になる前に手を入れていたので、刊行をお断りしていたが、どうせあとあと出るなら私自身が元気なうちに」というようなことが書かれていて、ちょっと複雑ではあるが、まぁやはり読めるのはうれしい。店番中は「メグレと火曜の朝の訪問者」を読む。おもしろかった。心理サスペンス風。後味の悪さもよし。帰りにジャック・ヴァンス「スペース・オペラ」やっと買えた。コレクション完結。早く読みたい。隣の棚にE・C・R・ロラックの新刊が出ているのを見つけてしまう。絶対に買う。給料が入ってから。焼鮭、小松菜炒めたん、マカロニサラダ、味噌汁。なんとなく昭和感ただよう食卓。明日の三色そぼろ弁当の仕込み。

 

6月★日

休みの日。いろいろ買い物の日。英国リバティ社のコットン生地を買う。Printed in Japanやけど。さらさらして気持ちよさそう。これで暑い夏を乗り切るワンピースを作ってもらう予定。イノダコーヒでちょっと休憩。コーヒーフロートを注文する。レモン風味のアイスクリーム、おいしい。夜、武田百合子「単行本未収録エッセイ集 あの頃」読了。読み終わるの淋しくてすこしずつ読みたかったけど、ずんずん読んでしまった。生きてたらどんなふうに手を入れたんかなとおもったりした。テレビ日記と映画の章がすきだ。とてもよい。

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クボタ カナ


英国のクラシック・ミステリをこよなく愛する、ナガシの書店員。

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