お願いだから、2つで1つの
ものは同時に落として。

藤野 可織さん

Photo : Takuya Shiraishi   
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第3回逆境に負けず、たくましく育ってほしい

藤野昔から観葉植物を育てたかったんですよ。「家のなかに外がある」という状態がすごく好きで。

――あ、そうか。植物を部屋のなかに置くと、ちょっと外の感じが出ますよね。

藤野そうそう。「中に外がある」のがほんと好きなんですよ。

――さっき、外から窓越しに部屋のなかにある植物を見るのが好きっておっしゃっていましたけど、その「中と外」との入り組んだ構造がちょっとたまらない感じなんですね。

藤野そうですね。だから、昔から植物は育てたかったんですけど、私が以前住んでいたマンションはお隣のマンションがぴったりくっついてる状態だったんで、日が入らなくて何にも育たなかったんです。あとは私の部屋が狭かったこともあって、植物を置く場所もなかったし。

――そしたら、いまの環境になって子どもの頃からの夢がかなった感じで。

藤野まあ、子どもの頃からの夢ってほどじゃなかったんですけど(笑)。いまの家はまあまあ日当たりもいいし、置ける場所もあるので、植物もガンガン置いてるんです。…けど、ただちょっと問題があって、実は太陽が苦手なんです。私が。

――あ、そうなんですね。

藤野だから家にいるとき、部屋のUVカットシェードを完全に閉めておかないと嫌なんですよ。

――そしたら植物たちは光合成ができない…。

藤野そうなんですよ。それでたぶん、うちの植物たちは、ちょっとひょろっとしているんだと思うんです。

会話の内容と関係ないけど、散歩中に出会った人・動物・モノ その1

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――その病弱なところが、ちょっとまた可愛かったりするんですか?

藤野いやいや、たくましく育ってほしい。

――じゃあ、シェード開けてあげましょうよ(笑)。

藤野こんなくだらない逆境に負けずに、荒くれ者のように育ってほしい、どうしてもカーテンを開けるのが嫌なんです。私、太陽に当たると顔が腫れちゃうので。

――え、そうなんですか。今日いい天気ですけど、大丈夫ですか。

藤野今日は、がんばります(笑)。なんか、すごい日光がダメで、日焼け止めをしっかり塗っておかないと人相変わるくらい顔が腫れるんです。それが嫌だから、シェードは開けないんですね。まあ家の中でも日焼け止めを塗ってればいい話なんですけどね。でもめんどくさいじゃないですか。だから、逆に今日みたいに外に出る日は、開けてくるんですよ。

――あ、なるほど。

藤野あと、ベランダに出すといいという話があって、最近とうとう根負けして三鉢ほどベランダに出してるんですけど、ただベランダに出すと虫がつくかも知れないじゃないですか。私、ほんとに虫がダメなんですよ。その可能性を排除しておきたいがために、植物の生命を犠牲にしてまでうちに閉じ込めてたんですけど、最近ちょっと改心して実験的に二十鉢ほどあるなかの三鉢だけ出してみました。

――その子たちは元気に育ってますか?

藤野はい!(後日:2鉢は元気にやっていますが、残りの1鉢、なんと枯れないことで有名なモンステラが現在ピンチです。急に直射日光に当ててしまったので葉焼けしたのと、なぜか過湿状態になっちゃって幹みたいになってた部分がぶよぶよのふがふがになってしまいました。だめになった箇所を切り取って、植えなおして室内に置いています。元の大きさの半分くらいになってしまいました)

藤野 可織

鉢から鉢への植え替え作業は
面倒くさいけど、すごく好き

――鉢は小さい状態のやつを買ってくるんですか?

藤野ものによるんですけど、すっごい小さいやつもありますし、割と大きいやつもあります。

――小さいやつに関しては、育っていって大きくなったら鉢の植え替えとかあるんですか。

藤野やりますよ。植え替えは大好きなんです。すごく面倒くさいんですけど。夜中とかに執筆していて、「もうアカン」ってなったときに、突発的に植え替えするんですよ。ただ植物には植え替えの適期というのがありまして、この時期に植え替えると死んでしまうみたいなこともあるんですよね。

――へえ、そうなんですね。

藤野でも、衝動的にしちゃうことがあるんですよ。ほんで、死んでしまったりするんです。

――あら(笑)

藤野やっぱりアカンかったか、みたいな。あとはお洒落な鉢を買ってきたから、「いま植え替えたい!」とかもありますね。でも、去年は時期をきちんと守って、適しているといわれる季節(4月~6月)に鉢を総入れ替えしました。

――成長したというか、より一層植物想いになったわけですね。全員無事でした?

藤野そのときの鉢の植え替えが原因で死んだと思われるのは、2割くらいかな。

――あ、それでもダメだった子がいたんですね。死んじゃうというのは、もう芽が出てこない状態のことをいうんですか?

藤野干からびたり、腐ったり、カビが生えたり、だらーんとなってどうしようもなくなったり、死に方もいろいろですね。

会話の内容と関係ないけど、散歩中に出会った人・動物・モノ その2

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――植え替えのタイミングでそういうことになっちゃうんですね。

藤野そうですね。あと植え替えって、けっこう繊細な作業というか、技術が求められるんですよ。根っことか切ったらアカンかったり、逆に切らないといけないやつがあったり、植物によっていろいろなんですね。一応、そのへんはなんとなくわかってるんですけど、元の鉢から抜くときにブチブチと根を切ってしまったり、土をほぐさんでいいのほぐしちゃったりとか…。

――ついつい、やっちゃう感じですか。

藤野なんか、調べるのが遅かったりするんですよ。やっちゃってから、ちょっとネットで調べたら、これアカンって書いてあったわ、みたいなことがけっこうありまして…。

――なるほど…。20ちょっとの鉢を総入れ替えとなると、けっこう大変だったんじゃないですか。

藤野大変だったけど、楽しかったです。

――作業はやっぱり夜が多い?

藤野そうですね。机の前で小説書いてても全然進まへんし、なんのために生きてんのかわからへんくなって、ほかの命を道連れに……。

――若干ダークな一面も垣間見えましたが、藤野さん流の気分転換法になってるんですね。

藤野そんな感じです。

藤野 可織

忠犬ハチ公との出会い

――もう病院は近いんですかね。

藤野そうですねえ。このあたりは入院中に散歩してました。あれが病院ですね。ここから散歩に出たから…。こっちに行きます。

藤野さんの誘導にともない、小さな路地に入る。その道をわー、わー、おしゃべりしながら、しばらく歩いた。

藤野 可織

藤野あ、犬がいてる。かわいい。起きないし。

――動物は犬派ですか、猫派ですか?

藤野猫派です。でも飼ってないんで、代わりに植物育てています。

――あ、なるほど。でも、このワンちゃんもかわいいですね。

藤野かわいいです。しかも、名前がHACHIですよ!

藤野 可織
――秋田犬でHACHIって、ようできた話ですね。てか、秋田犬であってんのかな。

藤野あ、起きた。かわいいねえ、HACHI!

ぶるぶるぶる、と立ち上がるなりHACHIが全身を身震いさせ、大量の毛を飛ばす。

藤野うわ、めっちゃ毛が飛んできた。

――ハンパなく飛びましたね。ちょっと戯れてみます?

藤野はい。

藤野 可織さん

藤野 可織さん

藤野 可織さん
――どんだけ心許してるんねん(笑)。

藤野かわいいなあ。

みんなでHACHI、ばいばいー。

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