お願いだから、2つで1つの
ものは同時に落として。

藤野 可織さん

Photo : Takuya Shiraishi   
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第5回おもとの鉢に、おもとがない

藤野犬には会えましたけど、猫はいませんねえ。

――そういえば、猫には会いませんね。野良猫みつけたら、かまいにいく派ですか?

藤野かまいにいく派です。

――でも、あんまかまってくれなくないですか?

藤野かまってくれないですね。「にゃー、にゃー」言ってがんばって呼びかけたら、「はあ?」みたいな顔するやつもいますね。「何この人間、アホちゃう」みたいな(笑)。あとはビビる猫もいるし、めっちゃいぶかしそうに振り向いて近づいてくる子もいます。

――この先、仕込んだように猫が出てきてくれるといいんですけどね。

藤野ねえ。今日は暖かいから出てくるかと思うんですけどね。ていうか、小説の話ぜんぜんしてないけど、大丈夫ですか?

――あ、ほんまや。いや、てか、これもともと小説と関係のない話題を取り上げるというのが企画の趣旨なんで、たぶん大丈夫です(笑)。たぶんというか、僕がルールブックなんで、大丈夫だと思います。

藤野あ、それだったらよかったです。

――でも、そういわれると何かちょっと心配になってきましたが、まあいいとしましょう。僕がルールブックなんで。てか、それめっちゃ枯れてませんか?
藤野 可織さん

藤野あ、これは大丈夫です。これたぶんさっきと同じ種類のやつですね。そういう赤くなるやつじゃないかな。それより、そこのオモトの鉢に何も植えられてないのが面白いですね。

――オモトってどんな植物なんですか?

藤野万年青と書くんですけど、わりとよくある植物ですよ。新居に置くと縁起がいいとかなんとか言われてます。「おもと」って札が刺さってるのに実際には何もないのがいい感じです。

――あ、こっちも面白いですよ。
真ん中の花魁のシール(?)に「男だね~」の文字

真ん中の花魁のシール(?)に「男だね~」の文字

――いろんなシールなんかが窓に貼られています。

藤野男だね~(笑)。

――うわ、上にもサボテンが!

藤野ほんまやー。

建物の2階の窓越しに並べられたサボテン

建物の2階の窓越しに並べられたサボテン

謎の植物に関する質問メールの
回答が未だに来ない

――僕がルールブックなんでたぶん大丈夫なんですけど、さっき小説の話が出たので取ってつけたかのように伺いますが、育てられている植物と小説の影響関係って何かあったりするでしょうか。

藤野あるでしょうね。いろいろと何かしら影響は受けてると思います。あと、植物の名前ってすごい面白いやつが多いので、その名前の響きが面白いから小説に出したい、というのもありますね。すごく変わってて、普段話している言葉はとはちょっと違う響きなんですよ。

――一番気に入っている名前は何ですか。

藤野ユーフォルビア。多肉植物の種類の名前なんですけど。きれいじゃないですか?

――確かに、いい響きですね。あ、駐車場の向こう側になんかすごい建物があります。
藤野 可織さん

藤野ほんとですね。ぐるっと回って見ましょうか。

――そうですね。ついでに、ここで記念撮影もしておきましょう。
藤野 可織さん

記念撮影した駐車場の前の道を北上し、次の角を西に曲がろうとしたちょうどうそのとき、角っこに設置されていた植え込みに赤色の物体を発見する。

――あ、変なのが落ちてる。

藤野いいですね。

――子ども用のフリースですかね。
藤野 可織さん

藤野こういう雑なところがいいですね(笑)。

――しかも、ちゃんと今回のテーマである植物とからまってますよね。洗濯物が風に飛ばされたのかな。

藤野もしかしたら、道に落ちていたのを誰かが拾って、ここに置いたのかもしれませんね。

――そういう「人の優しさ」を感じられるのもいいですね。

藤野そうそう。下に置いとくより、上にちょんと乗せようかなと。

――まあ、こうして歩いていると、いろいろ出会いますね(笑)。ちなみに、植物を育て始めて何年くらいになるんですか?

藤野今の家に引っ越してからやから…。えっと、結婚したのが…。いつやったかな。

――そこ大事なとこじゃないですか(笑)。

藤野結婚したのが2012年だったはずなので、その6月に引っ越したから、そこからですね。

――そしたら、もう少しで丸4年ですね。

藤野そうなんですよ。あ、この植物、入院中に散歩したときに写真に撮りました。

名前がわからない謎の植物

名前がわからない謎の植物

藤野その画像を植物に詳しい友だちに送って、「これ何?」って訊いたんですけど、まだ返事がないんですよ。そのあと、他の要件でメールのやりとりはしょっちゅうしてるんですけど、この植物の件はなぜかそのままになってます。

――なぜかそこだけスルーされてるんですね。

藤野忘れてるんでしょうね。あ、そのときにはなかった芽が出てきます。

――そのお友だちは植物博士みたいな感じの方なんですか。

藤野そうです。何人かの小説家さんやら他の方々でやってる「植物部」があるんですけど、そこの部長です。その人は編集の方なんですけど。本当にしょっちゅう植物のことでメールしてるんですけど、この植物の件に関しては未だに回答がきてません。

――そうなんですね(笑)。じゃ、普段からその方に植物の育て方のこととか、いろいろ尋ねられてるんですね。

藤野そうですね。自分のやり方に疑問に感じることがあればメールして、「これおかしくないですか」「それはすごくおかしいです」とか、そんなやりとりをしています。

――植物部では会合とかも開かれてるんですか?

藤野私以外はみなさん東京に住んでらっしゃっるので、たまに集まって大きな植物屋さんに行ったりしたはりますね。前に『NHK趣味の園芸ビギナーズ』の企画があったときには私も参加して、みんなで大きな植物を買いに行きました。

――そのときは、いいのんゲットできたんですか?

藤野はい!ユーフォルビア・ホワイトゴーストっていう大好きな植物の大きいやつを。もともとそれの小っちゃいやつはうちにいたんですけど、大きいのも欲しくて。子どものころ、グリーンティーっていう甘い粉末を水に溶かして飲む飲み物が好きやったんですけど、そのグリーンティーって牛乳に溶かしてもものすごく美味しいんです。ユーフォルビア・ホワイトゴーストは牛乳に溶かしたグリーンティーの色をしてます。見てたら、あの味まで舌によみがえって幸せな気分になりますね。触ったらトゲがあってけっこう痛いんですけどね。そんなところもかわいいやつです。

――聞いてて、わかったようなわからんような感じでしたが、藤野さんがそいつを愛してることはすごく伝わってきました。
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