ふと顔を上げて外が暗いことに気がついた。ついさっきまでは明るかった気がするのだが、気がつけば外の看板から光が漏れるほどになっている。少し鼻がむず痒い、ほんのり生暖かい風が春先の花粉を運んでいる気がする。まだ2月だというのに先日の強風は春一番であったそうだ。そりゃムズムズする訳だ。床材の木が乾燥でパキッと音を立てている。あとで店内に霧吹きをしようかと思う。植木にも水をやらないと土が乾ききっているはずだ。日当たりが悪いのでシダ類を置いているのだがどうやら馴染んでくれたらしく最近は元気に茂っている。
そろそろ追加の珈琲を淹れようか、うちのブレンドは淹れてから3時間くらい寝かせた方が円(まろ)やかなコクがでる。エイジングコーヒーという生豆熟成の豆を使っている。ネットでエイジングコーヒーを調べると色々出てくるがうちのはコクテール堂の珈琲を使っている。それが前回話した珈琲なのだ。
そうそう、バイトを探していてその店に出会ったのだった。結局バーテンダーをするのやめて、その店で働くことになる。これが珈琲好きになる原点だ。色々学んで、散々迷惑をかけて、様々な人々に出会った。ここでの話は一言では語りつくせないのでまた機会があれば話せればと思う。
場所は当時の下北沢、古着屋とライブハウスが沢山あって新旧入り混じった文化が綺麗に混じり合って、喫茶店や飲み屋のおじさんがピンク色の頭のバンドマンなんかと談笑している。レコード屋も沢山あったし、それぞれの音楽ジャンル専門のバーがあったりした。入り組んだ道にはいつも迷ってたし、その度に見つけた店に入ってあーだこーだ言うのが楽しかった。
時間の経過のスケッチ、静物画のスケッチ、時代のスケッチ、まだまだ実篤先生には程遠いとしても少しは感じていただけましたでしょうか?おそらく一番感じているのは僕自身です笑。縁側で茶を飲みながら話しているジジイの気分です。そういや、そんな縁側での記憶が、、、他文化を感じた初めての出来事がありました。これを次回のテーマにしましょうか「縁側」。
それではまた次回にお会いしましょう。