僕は生まれも育ちも大阪の人間で、自分が住んでいる大阪についてのイメージはそれなりにあったりする。
そしてそれは府外からやってきた人たちや、時には大阪にいる人から聞いたイメージ像ともずれたりすることがある。
勿論、自分の認識が全部合ってるなんて思ってないけど、それでもたまになんや違うなぁと首をかしげることがある。
そんな小さな違和感を解きほぐして、改めて”大阪的”ってなんやろう?ということを考えるきっかけをくれたのが『大阪的』という1冊。
この本は文筆家の江弘毅と小説家津村記久子の対談を中心にして編まれた本で、2つにわけられた対談と、その前にそれぞれの文章がまえがきのように書かれている。
まず読むことになるのは津村さんの文章でまずこれが目から鱗がぽろぽろと落ちる。”地方”の話から”大阪”へと移行し、”大阪≈次女論”へと鮮やかに繋がっていくこの文章を読んでいる最中ずっと、僕は頷きっぱなし。
分かる、痛いほどに分かる。だから”大阪”がなんとなく苦手なんや、だけど嫌いにはなられへんのや、なんて同意していた。
そこから、津村さんと江さんとの対談に入り、大阪はこんなんでここがええとかこれがよくないとかのはなしのなかで矢継ぎ早に言葉が交わされる。
冗談なんか交えつつ、なんのことはない会話なのに、二人の聡明な視線に裏付けされた言葉は大阪が抱える問題点とその改善方法が浮かび上がらせていきます。
実際にこの場で聞いてみたかったなぁと思える素晴らしく刺激的な言葉がたくさん詰まっていました。
本自体は薄くて読みやすいのに、内容は大変濃い気づきの多い1冊でした。
さて、この本の中でも江さんは大阪の言葉への想いを多く語られており、あいだに挟まれた文章でもたくさんの文学作品の名前をあげたり引用しながら”大阪的”であることを見つめています。どうも江さんの今の関心は文学にあるみたいです。
そこで、このあたりをもっとたくさん話してもらいたいと思い立ってイベントを依頼したら、なんと快諾頂きその機会を得ることができました。
文学とともに”大阪的”をめぐるお話を、是非皆様も聞きに来ませんか?
今回のイベントが気になるあなたにもうひとつお伝えしたいことが。
イベントに先駆けてアウラの部屋では只今「大阪サイコウ(再考)~”大阪的”を巡る大阪本フェア~」を展開中。
大阪を考える本から、大阪を舞台にした小説、ガイド・グルメ本まで。
知ってるようで、案外知らない“大阪”を捉えなおし、考えなおして、大阪の魅力をじっくりと感じられる本を選書したブックフェアです。
江さんのもうひとつの新刊『いっとかなあかん店大阪』も勿論どどんと展開中。
江弘毅さんによる“大阪的”選書棚もあるので、是非イベント前に一度ご覧いただいて1冊でも読んでから参加いただくとよりトークイベントが面白くなるかと思うので是非お越しくださいませ。
↓イベントはこちらからご予約頂けます。↓
http://aura.athens.co.jp/event/2017/0429.html
イベント詳細:
「大阪サイコウ(再考)- 江弘毅の“大阪的”ブックトーク」
日 程 : 2017年4月29日(土)
時 間 : 開始 / 18:00~(開場 / 17:30~)
入場料 : お一人様 500円(税込)
出 演 : 江弘毅
協 力 : ミシマ社、140B
「大阪」を「ブンガク」「言葉」の視点から見つめ直し、 「サイコウ(再考)」するトークイベントを開催します!
ゲストに迎えるのは、編集者・文筆家の江 弘毅。
大阪・岸和田で生まれ育ち、雑誌『Meets Regional』の創刊編集長を12年勤め、大阪の街を見つめつづけてきた江弘毅のいまもっぱらの関心は「大阪ブンガク」なのだそうです。
ミシマ社のウェブマガジンで連載されている「K氏の大阪ブンガク論」では、谷崎潤一郎から織田作之助、富岡多恵子、黒川博行、そしてなぜか宮沢賢治まで!? 江さんならではの視点で、大阪ブンガクと大阪言葉が取り上げられています。
上記に挙げた以外にも、 町田康、西加奈子、朝井まかて、又吉直樹、津村記久子、柴崎友香、高村薫… と書ききれないほど、存命の大阪出身・在住の作家の方は、実はとても多いのです。
いま、改めて見つめる「文学にみる大阪」 「大阪〜関西弁による表現」「大阪的なるもの」とは?
同時期に開催する「大阪本フェア」でとりあげた”大阪的”一冊を解説しつつ、大阪の魅力に迫ります。