私は『色』に関わる仕事をしています。
お客様の最も似合う色を見つけて、持って生まれた魅力を何倍にも引き出し
その方のイメージに合ったインタビュー記事やプロフィールの文章を書いています。
色で印象は全く違って見えるんですよ。
色の不思議についてはまた別に書くとして、
そんな私が最初にご紹介するのは、【日本の伝統色】の本です♪
伝統色って?なんだかカタいイメージがあるかもしれません。
天皇しか着ることのできない「黄櫨染」(こうろぜん)や、皇太子の「黄丹」(おうに)などは
有名な伝統色且つ禁色ですが、
鶯色、なでしこ色、とび色など聞いたことのある美しい響きを持つ伝統色が
日本には何百種類もあるんですよ!
四季の移ろう風景からとった色や、平安時代の「かさねの色目」を意識した色、面白いネーミングの色など
きれいな水彩画の絵とともに愉しんでもらえる一冊です。
春の季節からは、「東雲色」(しののめいろ)
春はあけぼの。
やうやう白くなりゆく、
山ぎは少しあかりて、
紫だちたる雲の細くたなびきたる。 清少納言
有名な枕草子の冒頭に描かれた春の夜明けの色は、まさしく「東雲色」なのです。
今風に言うと、ケチャップとマヨネーズを混ぜたオーロラソースの色ですねえ~
余談ですが、このオーロラという名は、ローマ神話に登場する暁の女神、アウロラに由来しているとか?
そんなこともこの本には書かれていて、雑学の知恵にもひと役買ってくれそうです。
夏の季節からは、「瓶覗」(かめのぞき)というおもしろいネーミングの色が登場。
うすーい水色なんですが、藍染めの中でも最も薄い色です。
染料の入った瓶の中に一度だけ浸してできた色。
ちょっとだけ藍の世界を見てきたよ!というなんともユニークな名前じゃないですか!
粋を愛し、何事にも洒脱であることを大事にした江戸っ子ならではのネーミングです。
昔は天然の染料しかなかったので、濃い色はなんども染料に浸さないとできないですから
庶民には濃くて鮮やかな色は手に入れることができなかったんですね。
でもやっぱり高貴な人びとに近づきたいという思いで、藍色を手に入れるけれど白っぽい色になっちゃった。
それをお洒落に着こなす江戸っ子の姿が浮かんできそうです。
色に興味はなくても、パラパラとめくるだけで挿絵がきれいなので、絵本としても楽しめますよ。
日本っていいなあ~と思えるほのぼのとした一冊です。
日常に追われて疲れたとき、ほっとするのにおすすめです。
東邦出版 長澤 陽子監修 エヴァ―ソン朋子絵