11月○日
あたらしいナガシ先の店番の合間に「じゃりン子チエ」を読む。読んでたら、「まいどおおきに」とか「おとろしい」とか言うてしまいそうになる。あきまへん、あきまへんわ。もやもや我慢できずにつぶやいてしまうけれど、「これからの本屋(出版業界)を考える本」みたいなん、もうええんとちゃう?そういう本ばっかり何冊も読んでどないしはんの?そういうとこに取り上げられてるお店で買うため?そういう出版社の本ばかりを買って読むため?一発当たったらどんどんおなじような本が飽きられるまで出て、みたいなサイクルはずっとあるし、いまにはじまったことではないけれども、そういうのもういいやんねっていう話をしてはったんとちゃうの、よう知らんけど。なんかこの気持ち悪さは受け手のほうにより感じる、私は。いや、ほんまよう知らんのですけど。よう知らんし、また殺人事件の本ざくざく読も。帰宅後、ミツルの結婚式の回を読んで号泣する。明日、目が腫れてしまうんちゃうかなというくらい泣く。家でよかった。店番のときやったらえらいこっちゃ。
11月□日
しとしと雨が降って冷たい日。きょうは外国人のお客さんばっかり。THE ROOTSかけてたら、「ええやん。ちょうクール。ええやん、これ。」って話しかけてきはった。サンキュー、サンキュー、サンキューベリマッチ。A・E・Wメイスン「薔薇荘にて」を何年ぶりかに再読。黄金期以前のロマンチックな名作。犯人が確保されてからが長いうえに、そこがおもしろいのが好きな一冊。晩ごはんは、あつあつの三平汁。テレビを見ながらはふはふ食べる。顔見世と千枚漬のニュースが出てきたら、もう年が終わるまであっという間。安藤鶴夫「寄席紳士録」を読む。粋やなァ。死んだところがカラッと書かれているのがいい。たのしい本。江戸のことばは文字でおもしろく読めるけれども、テレビやラジオでやっている落語を聞いても、外国語でやったはるみたいな感じで、何言うてはるかわからないことも多い。けど、時代小説読んだあとはなんちゃって江戸っ子やってみたりする。
11月☆日
きょうは発表会後、最初のレッスン。あたらしい鞄で行く。ずっと楽譜にぴったり合うサイズの鞄を探していたのが、やっと見つかったので。京都レコードまつりの鞄。これのよいところは、楽譜の背を上にして横向けに入れてもぴったりなところ。苦手意識しかなかったモーツァルトに挑戦している。予想どおり、ぜんっぜんなかよくなれない。ジャーン!がキラリーン!チャッチャッチャがキラキラキラ、になるようにしたいんやけれども。なんか、こう、「!」となる、コツみたいなもんないかなとおもうけど、「!」てなるためにみんな地道にコツコツやるんやなァ。次回からはいよいよ伴奏の勉強もはじめる。たのしみでしかたない。明日はあたらしい楽譜を買いに行こう。
11月●日
我が家にレコードプレーヤーがやってきた!わくわくどきどき。とてもたのしい。ホロヴィッツのショパンをかける。いつもむかしのひとたちの演奏をクリアな音にしたCDで聞いていたけれど、レコードで聞くとぜんぜん違う。おもしろいなァ。次は、フィッシャー=ディースカウのシューベルト。あたらしいおもちゃを買ってもらったこどもみたいに何度もかけてみる。レコードではクラシックと80年代のポップスを聞こう。夜、何日もかけて少しずつ読んでいた本を読み終える。石川直樹「完全版 この地球を受け継ぐ者へ 地球横断プロジェクト「Pole to Pole」全記録」。南極点に着く、最後の日の記録を読み終えて、どこまでも拡がりゆく感じに胸がいっぱいになった。この旅にもこの時からいままでの時間にも見たことのない南極の白さにも圧倒された。すごい本。また何度も読み返すとおもう。
11月◆日
おでんを煮込みながら、こたつで漫画。冬はさいこうだ。こうの史代「この世界の片隅に」読了。このひとの漫画、なにを読んでもいいなァ。はじめて読んだのは「夕凪の街 桜の国」やったとおもう。広島の本屋さんで買った。あれはすごかった。これも映画をみたひとがいうように、泣きはせんかったけどよかった。周作さんが素敵。戦時下のふつうのひとの暮らし。ちょっと伝わりにくいかもしれんけど、久生十蘭の「キャラコさん」をおもいだす感じ。夜、新刊チェック。創元推理文庫。ブラウン神父が新版で出ると知ってあわてて全巻買う。いまのカバーで集めはじめているし、古いままの組版も気に入っているので。アリンガムの短編集ももうすぐ。国書刊行会からは待ちに待ったジャック・ヴァンスの2冊目が出る!ぐぐぐ。こちらは、財布と相談して店頭で買うことにする。フォロワーさんからトマトジュースに酢をいれるとおいしいと聞いて、ストックしておいたプレミアムトマトジュース最後の一本を開ける。米酢でこんなにおいしんやからリンゴ酢はどんなかしら!やってみよう。
11月★日
雨。しごとの日。きょうはおとなりのカフェで古本市が開催中。きのうから読みはじめた「ハイペリオン」が店番のおとも。これ、おもしろい。おもしろすぎる…でも、こわい…どうなるの…そして、四部作(それぞれ上下巻あり)ということは…これ、あと7冊読まないとすべての謎は解決されないの…?最初の神父さんの話がこわすぎて、この謎がわかるまでやめられないけど、続くかちょう不安。半日のおしごとなので、終わりがけに古本市をのぞく。ええ本、たくさんあった。むかしの函入りの「風にのってきたメアリー・ポピンズ」、エラリー・クイーン「クイーン談話室」、安鶴さん「落語国・紳士録」を買う。はんのきさん、いっぺん行ってみたい。