yondokuで連載をさせてもらうとなった時、主催の中川さんから「ぜひ図書館勤務時代の話も書いてください」と言われていました。
絵描きであるわたしは8年くらい図書館司書としても働いていました。
最初に働いたのが自分が司書資格を取った新宿区内の大学図書館。次が池袋の大型区立図書館。埼玉にある、書架の半分が児童書コーナーだったコミュニティセンター内の小さな公共図書館。最後は東京の外れにある 市の中央図書館でした。
どこも規模も性格も違っていて、携わる仕事も少しずつ違いましたが、共通して言えることは、
「本を提供して一人の利用者さんのお手伝いをする」
ということでした。
図書館の利用者というのは様々で、大学図書館では生徒さんや教授でした。公共図書館では一般の市民の方になります。 赤ちゃんを連れたお母さんから、ちびっこ、小学生、中高生、主婦の方、おじさん、ビジネスマン、おじいちゃんやおばあちゃんまで。
どんな世代の方も、図書館に訪れて、自分の時間の使い方をしていました。そしてどんな世代にも本(ひとくくりにします)が必要とされていることは、自分も大の本好きである私にとって うれしいことでした。
赤ちゃんを連れたお母さんがいらしたとき、お母さんが絵本を選びますが、もちろん赤ちゃん本人も利用者です。そう考えると、図書館や博物館、美術館など(もっと色々あります)の施設を「生涯学習」のための機関といいますが、この言葉って本当に的を射ています。
私たち大人にもいつでも新たな知識に触れたいという欲求があるし、まだまっさらな赤ちゃんや子どもたちが本に触れてぐんぐんと新たな刺激を取り込んでいくこと、これって本当に大事なことです。どんな人間が育つかということを考えると 小さい頃からの教育ってなによりも大切に考えたいと思います。
「どんな一冊を紹介できれば、目の前の利用者さんが満足されるか」という、一番の基本で大事にしたいことをいつでも考えていた司書時代でした。
エッセイ風の読み物にしようと思っていたのですが、真面目な図書館論みたいになりそうですね。次回からは具体的なエピソードなどを綴っていこうと思います。
※今まで通りの本屋さん散歩の回などを織り交ぜて、連載していきます。