『「エラリー・クイーンの国際事件簿」』大阪・心斎橋 Bar Liseurのおすすめ本

小説  「エラリー・クイーンの国際事件簿」

著　者：エラリー・クイーン

　世界のミステリー小説の中でも、五本の指に入ると思われる名探偵、エラリー・クイーン。有名な作品は「Xの悲劇」「Yの悲劇」等の中編ですが、本作は探偵兼ミステリー作家であるエラリーが、世界各国の「美味なる犯罪実話」を取材するという短編集です。

　舞台は20世紀中盤なので、やや人種的偏見も見られますが、各国の民族性や歴史に根ざした人間ドラマが詰まっており、ディープな旅行気分が味わえます。雑誌連載された短編を集めたものと思われますが、文体がスタイリッシュで、起承転結もしっかりしているので読後感が良いです。ちなみに日本の銀行強盗事件に基づいた章は、ステレオタイプな描写に複雑な思いですが、これも当時のリアルな日本観でしょう。

　サラッと読める短編ばかりなので、名探偵と気軽に世界の「美味なる」犯罪ストーリーを覗いてみましょう。

※先日行われたリーダーズ・ネストでもっとも読みたい本に選ばれた、「エラリー・クイーンの国際事件簿」 エラリー・クイーン著　飯城勇三訳のおすすめコメントを、Kさんにいただきました。ぜひご一読ください！