小説 エンタメ 春にして君を離れ
著 者:アガサ・クリスティー
「ミステリーの女王」として知られるクリスティーが書いた、ミステリーではない異色の小説です。
主人公はイギリス人の主婦ジョーン。
彼女は病気になった娘の見舞いの帰り道、バグダットからイギリスへ帰国する途中、ある中東の駅で足止めを食ってしまいます。
偶然出会った友人の思わせぶりな言葉をきっかけにして今まで見て見ぬふりをしていた事実が次々と彼女の心の中に浮かんできました。
まるでトカゲが穴から顔を出すかのように、不気味に。
彼女は自分自身を理想的な妻であり母であると心の底から思っていますが、それは家族から見てもそうなのか?
自分が良かれと思ってしていた独善的な態度や言葉が周りを傷つけているだけだったとしたら?
本当の事をやっと自覚し、今まで信じていた世界すべてがひっくり返るような体験をした彼女は後悔と懺悔の気持ちを胸に帰国の途に着くのですが・・・
愛する家族との再会がどの様に描かれるのか。
クリスティーらしいとも言えるラストを是非味わってみてください。
※先日行われたリーダーズ・ネストで同点1位になった、アガサ・クリスティー「春にして君を離れ」のおすすめコメントをMさんにいただきました!