小説 エンタメ 紙つなげ!彼らが本の紙を造っている
著 者:佐々涼子
最近は電子書籍もありますが、本を読むならやっぱり紙の本がいいという方が多いんじゃないでしょうか。でも、その「紙」がどこでどんな風に造られているか考えたことがありますか?そしてその「紙」が無くなったらどうなるんだろうかと考えたことがありますか?
出版用紙のトップシェアをもつ日本製紙。その基幹工場である石巻工場は東日本大震災で壊滅的な被害をうけます。この本は震災の絶望から工場の復興までを描いたノンフィクションです。
津波による瓦礫まみれの工場。絶望的ともいえる状態の中で、工場長はわずか半年での復興を宣言します。誰もが無茶と思えるスケジュールでしたが、急ぐには理由がありました。マシン(紙をつくる機械)にはそれぞれ癖があり、石巻のマシンでないと造れない紙があり、その紙を全国の出版社が待っていたからです。
電気も水も食料もない。そんな中からでも、紙を待っている出版社へ、そしてその先の読者へ紙を届けたいと工場一丸となって戦い、不可能と思えた半年復興を達成します。紙の本を読む人なら必ず石巻の紙に触れているはずです。この本を読み終えると、あたりまえにある紙にも、様々な人の思いが詰まっていることが分かってもらえると思います。本を読むときに、少しでも、この思いを感じて頂けたら嬉しいです。
※先日行われたリーダーズ・ネストで、もっとも読みたい本に選ばれた、佐々涼子「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」のおすすめコメントを、Iさんからいただきました。ぜひご一読ください。