教養 あるヨギの自叙伝
¥4536
著 者:パラマハンサ・ヨガナンダ
出版社:森北出版
インドの聖者ヨガナンダ(1900-1970)が偉大なグルたちとの出会いを書いた本書。神秘家たちの教えを書かれた本は多いが、彼らがどのような生活を送り、どのような道を通って悟りの境地を開いたのか、という人間レベルの興味を満たしてくれる本は意外と少ない。本書では、ヨガナンダ自身の師であるユクテスワから受けた教えの様子や、ガンジーやタゴール、ラマナ・マハリシなどの偉大な人物との出会いが描かれている。また、神秘家とそれをとりまく人たちの関係はどんなものだったのか、ということも興味深いテーマである。たぶんヨガナンダのエピソードだったと思うが、彼と普通の人であった妻とのおもしろい話を聞いたことがある。あまりに身近な存在であるため、その偉大さを感じられなくなっていた彼の妻は、日々、彼に対して同等の口を利いていた。ところがある日、彼が空中浮揚をしている姿を目撃してしまう。その瞬間、彼女は畏怖の念を抱き、自らを戒め、彼を尊ぶようになった。しかし、3日後にはそんなこともすっかり忘れ、お金がないと彼を元のようにせっついたという話だ。何かいかにもありそうな話だが、人間の愚かさをよく表している。