2019-05-26
こちら「沖縄絵本」は、沖縄各地の風物を、趣のある絵とエッセイで綴った本。

大正時代に兵庫で生まれ、一兵士として戦争を体験した著者が、当初は沖縄への罪悪感(自分は沖縄の犠牲のおかげで生きのびた)を持ちながら、5年間かけて沖縄各地を歩き、沖縄の様々な「顔」に触れて生まれた一冊です。
収録されたモノトーンの絵は、沖縄の自然豊かな風景や昔ながらの人々の暮らし、生き物や民具から戦跡・米軍基地施設まで、100枚以上。 ’89年の刊行ですので、描かれているのはいずれも30年以上前の景色でしょう。 沖縄本島だけでなく、周辺の離島や宮古・八重山諸島に奄美も登場します。
「エメラルドの海や赤瓦の屋根を安易に描く気にはなれなかった」 「どんなに沖縄に取り組もうと、自分は所詮ヤマトンチューに他ならない…しかし私が本気で見たかったのは“生の沖縄”には違いなかったのです」 著者の言葉から、悩みながらも真摯な気持ちで沖縄と向き合おうとする真心が伝わります。
まめ書房